(光雲神社境内の狛犬)
神社の参道や拝殿でよく見かける狛犬ですが、神社では当たり前のような存在で、ついつい見過ごしてしまうことが多いかも知れません。
実は光雲神社の狛犬は一般的なものと比べて、少し変わったところがありますが、ご参拝された際にお気づきの方もいらっしゃいますでしょうか?
今回は狛犬の起源や意味合いについて迫ってみたいと思います。
目次
1.狛犬の役割とは?
狛犬は邪悪なものが神社に入ってこないようにするために魔除けとして置かれていて、いわゆる番犬の役割を果たしています。
必ず対になって二体が置かれていて、同じ狛犬が二体いるだけと思われがちですが、よく観察してみると、拝殿に向かって右側に口を大きく開けた狛犬が、左側には口を閉じた狛犬がいることに気づきます。
口が開いているほうを「阿(あ)」といい、閉じているほうを「吽(うん)」といいます。
「阿吽の呼吸」という言葉がありますが、これは「阿」は口を開き、「吽」は口を閉じることから「呼気」と「吸気」の意味となり、二人が息を合わせることが由来となっています。
また、インドのサンスクリット語の最初の音「あ」と最後の音「うん」を表しており、「万物の起源」と「そのすべてが帰着するところ」を意味しているといわれ、すなわち物事の最初と最後を示しているそうです。
2.狛犬はどこからやってきた?
狛犬が神社に置かれるようになったのは平安時代以降とされます。
その起源は古代オリエントにあったバビロニアにさかのぼることができます。
神獣のシンボルとされたライオンは守護獣として壁画などにも刻まれています。
それがインドからシルクロードを経由して中国大陸にまで伝わりますが、その頃にはすでに魔除けの意味合いが持たれていたようです。
さらに朝鮮半島を渡り「高麗(こま)」の犬として日本に伝わってきたことで狛犬となりました。
3.光雲神社の狛犬
光雲神社拝殿の前にある狛犬ですが、普通の狛犬とは違うところ・・・、そうです一般的には二対が向かい合って御祭神をお守りしているのですが、当社の狛犬は互いに反対を向いています。
いわば、「そっぽ」を向いてしまっているので、不思議に思われるご参拝者から、その訳をよくきかれます。
これは、御祭神をお守りすると云うのでなく、お百姓さんなど領民をおまもりする趣旨で作られているためです。
「黒田家譜」所収の「如水遺事」に記されている有名な如水の言葉として次のようなものがあります。
『 神の罰よりも、主君の罰はおそろしい。
主君の罰よりも臣下や百姓の罰はもっと恐ろしい。
その理由は、神の罰は祈る事によって免れることができる。
主君の罰は謝罪をすれば良い話である。
ただ、臣下や百姓に疎まれては必ず国を失ってしまうので、
祈っても謝罪をしてもその罰は免れがたい。
それ故に、神の罰、主君の罰よりも臣下万民(百姓)の罰はもっと恐ろしいのだ。』
こう言って官兵衛は息子の長政にも領民を大事にすることの大切さを諭したそうです。
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